息が切れる・呼吸が苦しい・足のむくみ
目次
このような症状はありませんか?
- 息が切れる
- 歩くと息が苦しくなって休まないといけない
- 足がむくむようになった
呼吸が苦しくなる病気は多く存在します。今回はその中での1つの原因として、心不全について解説します。
心不全とはどのような病気?
心臓は全身に血液を送り出すポンプの役割をした臓器です。心不全とは、心臓の機能が悪化することで体に十分な血液を送ることが難しくなり、様々な症状を引き起こす病態です。
心不全はどうしておきるか?
心臓から血液が十分に出なくなる原因はいくつかあります。
1つ目は心臓の収縮力が低下する状態です。
心筋梗塞や心筋症で、心筋細胞が変性してしまい、血液を押し出す力が弱くなります。
2つ目は、弁膜症です。
心臓には押し出した血液が心臓内に逆流してこないように、弁がついています。この弁の建付けが悪くなって、弁が開かなくなる狭窄症と、弁の逆流が増えてしまう逆流症があり、これによって血液を十分に出せずに心不全になります。
その他に、不整脈によって心不全を起こす場合や、心臓が拡張して血液をため込む能力が低下する場合、生まれつき心臓に穴が開いている場合などでも心不全が起きることがあります。
心不全になると、どのような症状が起きるか?
心臓から十分な血液が送れなくなります。このため、歩行や階段昇降で息切れが起こります。
また腎臓(尿を作る臓器)に送られる血液が減るため、尿が作られなくなり、体に水が溜まり、足がむくむことがあります。肺に水が溜まると換気スペースが減ることで息が切れるようになります。また水が溜まることによって体重が増えます。
更に悪化すると、あお向けになって寝むれなくなる起坐呼吸が起こることもあります。
心不全の治療について
心不全の状態が悪く、症状が強い場合には、まずは急性期治療を行います。
体が苦しいので安静にし、酸素を吸入します。体に溜まった水を減らすために、尿を多く出す薬(利尿剤)を使って、溜まった水を尿で出していきます。心臓の力が大きく弱っている場合は、強心薬という心臓の力を上げる薬を一時的に使います。
心不全による症状が落ち着いたら(または急性期治療に並行して)、心臓の機能が悪くなった原因に応じた治療をします。
狭心症や心筋梗塞や弁膜症が心不全の原因となっていれば、手術を行うことになります。また心臓を長持ちさせるために、血圧を下げる薬や脈を遅くする薬を内服します。不整脈が心不全に悪影響を与える場合は、不整脈を抑える薬を使い、抑えきれない場合は手術を行うことがあります。また心不全の患者は突然死することが報告されており、危険性が高ければ除細動器を体に植え込む手術を行うことがあります。
食事や生活習慣も心不全に影響します。特に塩分を摂りすぎると心不全が悪化するため、塩分制限食が必要です。
外来通院で気を付けること
心不全は良くなったり悪くなったりを繰り返しながら経過していきます。大事なことは心不全を悪くさせないこと、悪くなった時に早めに気づいて治療を行うことです。
薬を飲むことで心不全が悪化することを抑えているため、必ず薬を毎日内服することが必要です。心不全が悪化すると、むくみから体重が増えます。これが心不全悪化のサインとなるため、毎日体重を測ることが望ましいです。食事に関しても、塩分制限(目安は6g/日)が必要になります。
心不全と上手に付き合っていくことが大切ですが、一人の力では中々難しい場合もあります。
また年齢や社会的事情で、治療の選択肢も変わることがあり、長期にわたって専門的な治療が必要になります。
当院では経験豊富な循環器専門医が診療にあたります。心不全でお困りの際には、お気軽にご相談ください。